中小企業 戦略

【基礎編】戦略実行・目標実現するための組織構造とは

今回は戦略実行・目標実現するために重要な組織構造について解説いたします。何となく部や課などを増やしている方は必見です! 組織構造とは、会社の戦略を表したものでなくてはならず、何となくで決めていいものではありません。逆に言えば、自分が経営している・所属している会社の組織構造を見れば、その会社の戦略が見えてくるとも言えます。

一般的には、会社の従業員数が150人を超えると、社長が従業員個人と個別にコミュニケーションを取ることは、難しくなる言われています。従業員数が数人のうちは、組織構造についてこだわらなくても問題ないですが、規模が拡大しつつある会社・規模の拡大を目指している会社の方は、最適な組織構造について真面目に考える必要があります。今回の記事を読んでいただくと、以下のメリットが得られます。

ポイント

  • 自分の会社に適した組織構造の考え方を理解できる
  • 競合他社の組織構造を把握することで、競合他社の狙いが見えてくる

では早速ですが、組織構造についての説明を行います。基礎編では以下のポイントについてご説明いたします。

  • 基礎編:あなたの会社には何が適している? 組織構造の種類とメリット・デメリット
    • 業務の効率性が上がる! 機能別組織
    • 経営・意思決定スピードが上がる! 事業部制組織
    • 全社横断的な協力が容易になる! マトリックス組織
  • 実践編:どうしたら上手く組織構造を検討・移行できる? 検討すべき主な論点

基礎編:あなたの会社には何が適している? 組織構造の種類とメリット・デメリット

最適な組織構造を検討するためにも、組織構造の種類やメリット・デメリットを知らないと話にならないので、まずは概要を簡単に説明します。各組織構造のメリット・デメリットを理解したうえで、会社にとって何が最適な組織構造なのか検討・判断いただければと思います。

業務の効率性が上がる! 機能別組織

  • 機能別組織:営業・人事・経理・総務といった、会社の機能別に構成された組織

中小企業の多くはこの形態を取っているものと思います。僕の銀行員時代の取引先もこの組織構造を採用していました。

この組織構造のメリットは、営業や人事といった特定の領域に特化した人材を育成でき、業務の効率性を上げられることです。業務の効率性を求めることに適した組織と言えましょう。職人・技術職のようなスキルを求められる人材が多く必要な会社は、この組織構造を取ることが少なくありません。

一方、デメリットとして挙げられるのは、部門間の争いが起きやすいこと、幅広い視野を持ったマネジメント人材が育ちにくいことです。よくドラマや小説で、「営業は何も分かっていない、この納期で製品を作れる訳がない!」みたいなセリフを聞いたことがありませんか? 各部門で専門性を追求するあまり、他部署の事情を把握することができず、結果として無茶ぶりをしてしまうという、よくある話です。これは機能別組織で起きている話ということが分かりますね。

今までの話を端的にまとめると、機能別組織は業務の効率性は追求できるものの、全社・部門間連携をとることが難しい組織構造です。

経営・意思決定スピードが上がる! 事業部制組織

  • 事業部制組織:会社の事業別に構成された組織(某食品メーカーの例:国内食品事業部・海外食品事業部・ライフサポート事業部・ヘルスケア事業部)

社長が事業部長にかなりの権限を委譲することが特徴です。要するに、各事業の責任者は社長ではなく事業部長ということですね。

事業部制組織のメリットは、事業部単位の責任が明確化されること、事業部単位の意思決定が迅速化されること、マネジメントスキルを持った人材を育成できることです。事業部単位で多くの意思決定がなせるので、当然スピード感が上がります。事業部長に適した人材がいるのであれば、問題なく機能するかと思います。

一方、事業部制組織のデメリットは、事業部間を超えた協働が行われにくいこと、各事業にマネジメント人材が必要になるため、必要な人材の重複(ムダ)が生じること、短期的な利益を追求する事業になりがちなことです。基本的に、事業部単位の責任が明確化されることで、その事業部の責任(目標)を達成するために注力することで発生するデメリットです。このデメリットを緩和するためには、中長期的な目標を設定すること、事業部間協働を促す目標を設定すること等が挙げられます。

覚えてほしいのは、事業部制組織は経営スピードの迅速化・責任の明確化ができるが、短期的な利益追求や事業部間協働がなされにくいということです。

また、カンパニー制という組織構造の種類もありますが、これは事業部制の分権度合いを更に高めた組織構造と理解いただいて問題ありません。事業部制組織のメリット・デメリットがそれぞれより強まります。

カンパニー制の大きな特徴は、事業部を疑似的に1つのカンパニーと見立て、経営層はあくまで各カンパニーのコントロールに徹するという仕組みです。また、ファイナンスの観点から言える大きい特徴は、事業部がBS責任を持つ、つまり投資責任を持つということが挙げられます。総合商社の伊藤忠はカンパニー制を導入しているので、興味のある方は伊藤忠のHPをご覧ください。

全社横断的な協力が容易になる! マトリックス組織

  • マトリックス組織:事業部制組織・機能別組織のを組み合わせた組織構造(事業別・機能別に管理・運営する組織が存在する)

多くのコンサルティングファーム・SIerは、このマトリックス組織を採用しています。要するに、事業も機能も同じぐらい大事な会社が採用しているということです。

マトリックス組織のメリットは、自分の所属する組織の事業と機能に精通した人材を育成できること、同じ事業・機能間の協働が容易であることが挙げられます。例えば、自動車業界(事業)に経営コンサル(機能)を行うチームに自分が所属していたとします。経営コンサルでの知見を活かして、食品業界の経営コンサル案件に参加することや、自動車業界の知見を活かして、自動車業界の業務コンサル案件に参加することは、比較的ハードルが高くないと想像できるかと思います。

一方、デメリットは1人の従業員に2人の上司が存在することになるので、指示・命令系統が複雑化すること、間接費が増大すること等が挙げられます。私もコンサルティングファームに入りたての頃、どっちの上司の指示を聞けばいいのか分からなくなったことがあります。実際は、事業・機能のどちらかにより強い権限を与えることで、指示・命令系統が曖昧にならないようにしている会社が多いです。

簡単に言うと、マトリックス組織は全社で協力しやすい組織形態であるものの、指示・命令系統が複雑な組織構造です。

最後に

上記で紹介した組織構造以外にも、アメーバ組織(従業員1人1人に明確な責任を負わせ、付随した権限を与える)といった組織構造もありますが、一旦は、機能別組織・事業部制組織・マトリックス組織の3種類があるということを覚えていただければ構いません。自身の会社の戦略が事業軸/機能軸どちらを中心に語られているのかが、最適な組織構造を考えるための第一歩です。また、自身の会社が目指す方向性(全社協働した取り組みを行う必要があるのか否か、従業員に専門性を追求して欲しいのか否か等)と合致した組織構造を採用いただくことが一番かと思います。

また、同業者・競合他社の組織構造を参考とすることも悪くないかともいます。何故、同業者・競合他社がその組織構造を採用しているのかを分析することで、自社の取るべき組織構造を検討する際の参考にすることができます。

いずれ今回の基礎編に続き、実践編を書かせていただく予定ですが、その際には、具体的にどのような観点から組織構造の評価を行い、最適な組織構造を選ぶのか、また、実際に組織構造を移行する際に特に注意すべき論点等について、説明させていただければと思います。

  • この記事を書いた人

Orange

コンサルティングファームや銀行で勤務した経験があり、戦略やファイナンス領域にに強みを持つ。大企業の新規事業立ち上げ、ベンチャー企業のIPO等、様々な状況下での事業計画策定、PMIにおける組織再編、予算編成・業績管理の高度化・効率化などの実績をもつ。

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