はじめに
最近,ビジネスの文脈でOODAループという概念を耳にすることが増えてきました。
OODAループって何?
と,戸惑っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一言で言ってしまうと,OODAループとは,現在のビジネス環境下で迅速な経営判断をする際に必須となる思考方法です。
OODAループについてよくご存じでない方は,同僚との会話などでOODAループが出てきたときに,
あ,ああ,あの映画面白いよね~ (^^;)
などと知ったかぶりをして恥をかいてしまわないように,この記事を読んで最低限の知識をつけていただければと思います。
OODAループとは
OODAループは,アメリカの軍事戦略家ジョン・ボイドが提唱した,戦闘時における状況判断,意思決定のフレームワークです。
もともとは空中戦におけるパイロットの意思決定のフレームワークでしたが,軍事戦術・戦略にも応用され,さらにはビジネスや政治など,あらゆるフィールドで導入されています。
その概念を図にすると以下のようになります。
詳細は後述しますが,OODAループを迅速に回すことで判断・行動の敏捷性を上げ,目まぐるしい環境変化に即応することが,このフレームワークの目指すところです。
図が示すOODAループの4つの構成要素についてみていきましょう。
Observe (観察)
観察はOODAループの起点となります。ありのままの外部情報や状況の変化に関するデータを収集します。
Orient (情勢判断)
観察によって得た情報を,意思決定者が自身の文化的伝統,,従来の経験などと照らし合わせたり,分析・総合を行ったりして,価値判断を含んだ情報に加工していく段階です。
このOrientはBig Oと呼ばれ,OODAループの核となるステップです。
Decide (意思決定)
情勢判断に基づき,明示的な意思決定を行うステップです。
ここで,先ほどの図で,Orient (情勢判断)からAct (行動) に直接線が引いてある点に注目してください。
暗黙の誘導・統制が組織内で機能していれば,直接行動に移るため,このステップは省略されます。
これはどういうことか,OODAループのルーツである戦闘機による交戦を例に説明します。
パイロットは状況を観察し,自身が持つ判断装置によってその情報を処理したのち,次のアクションを意識することなく,即座に操縦桿を介して自機を操り攻撃なり回避なりをしますよね。
このように,OODAループの思考は判断・行動の敏捷性を上げることを目的としているので,可能であれば情勢判断から即座に行動に移ることが望ましいとされています。
Act (行動)
情勢判断もしくは意思決定に基づき,実際の行動に移るフェーズです。
OODAループ
行動の結果,外部状況が変化したりしなかったりするはずです。
その変化を観察し,情勢判断,(意思決定),行動,という次のループに移行していきます。
このとき,情勢判断(明示的な意思決定を経る場合も当然ある) の結果,「何もしない」ことを選ぶ場合もあります。
この判断の流れを先ほどの図に描き入れると,少し複雑になりますがOODAループの概念はこのように修正されます。
まとめ
この記事ではOODAループの概要についてざっくりと説明しました。
次回は,なぜ最近OODAループがよく話題になるのかという点について,似たフレームワークであるPDCAとの比較も交えながら説明していきます。
今後もOODAループに関する記事を順次公開していく予定です。