新規事業の検討や起業を経営やベンチャーキャピタルに相談した時に「それどれくらい儲かるの?」という質問は必ずされます。
こんな方におすすめ
- 「どれくらい儲かるの?」という質問にロジカルに答えられない
- 市場機会を分析する方法が分からない(どのような観点で説明すればよいか)
- PEST分析や3C分析は知ってるけど、使いこなせていない

という、有識者の方もいるかもしれませんので、本日は情報の羅列や手段が目的化しない市場機会の捉え方を説明できればと思います。
ポイント
- 市場機会の捉え方
- 具体的なフレームワークの解説
- 新事業検討の際にありがちな間違いとポイント
目次
市場機会を考えるための全体像
市場分析は、マクロ環境とミクロ環境の分析を行い、市場機会を特定します。フレームワークは知っているけど、完璧に使いこなせている!っていう方はあまりいないのが現状です。
各環境分析における目的を紹介します。
まずはマクロ環境分析(より高い視点での分析)の目的について。
マクロ環境を分析する目的
- 業界の足元・3~5年後の中長期的な業界トレンドを理解し、事業の前提条件を把握すること
- 「変わるもの」「変わらないもの」を特定し、事業機会のインプットとする
次にミクロ環境分析(自社から見た視点での分析)の目的について。
ミクロ環境を分析する目的
- 自社・競合・顧客の客観的な情報を集め、検討の前提条件を整理
- 内外の環境を比較することで、自社の強みと弱みを特定
フレームワークも多数ありますが、本日は以下2点についてフォーカスを当てて解説します。
市場機会のフレームワーク例
- マクロ環境:PEST分析
- ミクロ環境:3C分析
マクロ環境:PEST分析を活用し、中長期的なトレンド/事業の前提条件を把握する
PEST分析の全体像
PEST分析を活用し、業界の足元・3~5年後の中長期的な業界トレンドを理解し、事業の前提条件を把握し、変化を捉え、機会を特定することが重要となります。
P:Politics (政治面)
P:Politics (政治面)
- 法律、法改正、判例、規制緩和
- 条約
- 税制
- 政治、政権体制などの動向
- 公的補助、判例・規制緩和、助成
E:Economy (経済)
E:Economy (経済)
- 景気動向、賃金動向
- 株価、為替、金利
- 物価、消費動向
- 経済成長率
- 消費動向
S:Societyl(社会/文化)
S:Societyl(社会/文化)
- 人口動態
- 社会インフラ
- 流行、世論、事件
- 言語、教育、宗教
T:Technology (技術面)
T:Technology (技術面)
- テクノロジー要素技術
(AI/データ分析/インフラ) - ソリューション動向
PEST分析活用の間違いとポイント
PEST分析の活用のポイントは網羅的に検討することではなく、検討している事業へ関連している部分のインパクトを把握し、事業の前提条件を把握することです。
PEST分析活用の間違い
- 手段が目的化(情報の羅列)
- 示唆が得られていない(変化を特定し、事業機会のインプット)
ミクロ環境:3C分析を活用し、競合優位性・ターゲット顧客を特定
3C分析の全体像
3C分析は、検討している事業へ関連している部分に関連する領域を調査し、事業検討のインプットを目的に実施をします。
3C分析もPEST分析と同様に調査して網羅的に調べることが目的ではなく、如何に検討のインプットの情報を収集・整理できるかが重要になります。
メモ
- Company(自社)
- Competitor(競合)
- Customer(市場・顧客)
Company(自社)
Company(自社)の要素例
- 自社の企業理念・ビジョン
- 既存事業・自社製品の現状
(売上、シェア、商品ラインナップ、戦略など) - 既存ビジネスの特徴
- ヒト・モノ・カネのリソース
- 資本力・投資能力
Competitor(競合)
Competitor(競合)の要素
- 各競合の特徴(戦略・保有リソースなど)
- 競合の業界ポジション
- 競合各社の現状シェアと推移
- 新規参入・代替品の脅威
Customer(市場・顧客)
Customer(市場・顧客)の要素
- ターゲット顧客(既存/新規)
- 顧客ニーズ・購買行動
- 業界の市場規模
- 市場の成長性
【事例】3C分析:競合分析- ビジネス系YouTuberをやろうと思った場合
3C分析をする際は事業検討している領域での検討軸を設定し、“ホワイトスペース”及び“差別化要素”が特定できるようにしていくことが重要です。
ビジネス系YouTuberのポジショニングマップ作ってみましたが、いろんなYouTuberがいますね(笑)
競合分析をすると、各領域のプレイヤーたちの位置づけ(仮説)が明確になり、自身の検討している事業がどこにポジショングすると勝てそうか、もしくは、意味がありそうかということができます。
検討軸
- 実践的VSアカデミック
- ToB(法人・会社員っぽい)VS ToC(個人のスキル向上)
【事例】3C分析:顧客分析- - ビジネス系YouTuberをやろうと思った場合
想定顧客の課題(仮説)を設定することで、その解決策とどの程度のボリュームのユーザーがいるかが特定できるようになります。
想定顧客
25才キャリア志向が高い大企業に勤めているビジネスマン
- 成長のために自身の時間を自己啓発に充てる
- 社内の新規事業検討に参加している
- 起業に興味がある、一方で、他企業へ転職し、起業/経営に近しい経験をしたいと考えている
課題(仮説)
- 基本的な知識は知っているが、実践的な経験・知恵を持っておらず悩んでいる
- ビジネスで何か成功したいが、具体的な方法が分からない
市場機会を説明する
PEST分析での前提条件をふまえた上で、3C分析の結果を活用して、自社の強みと弱み/目指すべき方向性を踏まえた事業案とポジショニングマップの中で”想定される領域”を特定し、ターゲットユーザーの課題と規模感を整理する。
そのことによりロジカルに”市場機会”という抽象的なワードを説明することができます。
終わりに:市場機会を特定することと実行することの差
市場機会を特定すること自体は、誰にでもできることだと筆者は考えております。
大事なことは、市場機会に対し速効性をもって事業を投入していくことです。さらに事業を推進していくにあたり、高速に仮説検証を行い、ユーザーの声を聴いていくことが重要です。
高速でプロジェクトマネジメントする”OODA(ウーダ)ループ”や”アジャイルな推進”については別途解説します。